美しい女性を巡った争い|バレエ作品『シルヴィア』のあらすじと見どころとは?!
おはようございます!バレエ作品『シルヴィア』、聞いたことはあってもあらすじをよく知らない方も多いのではないでしょうか?
今回はシルヴィアという女性を巡った争いに発展する(w)、ギリシャ神話をもとにしたバレエ作品『シルヴィア』について紹介していきたいと思います!
概要
- 初演:1876年6月14日
- 会場:ガルニエ宮 @パリ
- 振付:ルイ・メラント
- 音楽:レオ・ドリーブ
- 原作:ジュール・バルビエ & ライナッハ男爵
あらすじ
登場人物
- アミンタ…羊飼いの男
- シルヴィア…ニンフ(神と美しい女性の中間の存在) の一人。
- 神エロス…恋の神様
- オリオン…シルヴィアとアミンタの一部始終をみていた狩人
- ディアナ…女神
第一幕
森の精霊たちが恋の神エロスの前で儀式をしていた。
その神聖な儀式に、アミンタは誤って立ち入り台無しにしてしまう。アミンタはニンフの一人であるシルヴィアに恋をしていた羊飼いである。
しかしそのシルヴィアたちがエロスを嘲笑しにやってきてしまったのだ。
アミンタは急いで隠れたが、ニンフの一人が気付いてしまう。シルヴィアは自分たちの様子を見られていたことに怒り、エロスに矢を向けた。
エロスをかばったアミンタはこの矢にあたり、倒れてしまった。
今度は仕返しにエロスがシルヴィアを射った。シルヴィアは傷つきその場を去った。
その一部始終をみていたオリオンは亡くなったアミンタを見てなぜか喜ぶ。アミンタに同情したシルヴィアが亡くなった彼を想い哀歌を歌うが、この時シルヴィアはオリオンに連れ去られてしまう。
一方アミンタの死を見て農民たちが悲しんでいるとエロスが彼をよみがえらせた。エロスはアミンタがオリオンに連れ去られてしまったことを伝えた。
第二幕
連れ去られたシルヴィアはオリオンの洞窟にいた。オリオンがいくら嘆き悲しむシルヴィアを酒や宝物で誘惑しても一向に振り向かない。ただただ胸から引き抜かれた矢をいとおしむだけであった。オリオンはその矢を奪ったが、それに怒ったシルヴィアはオリオンを酔わせて、エロスに助けを求めた。
エロスはすぐに助けに現れ、待ちわびたアミンタと待ち合わせているディアナの神殿へ向かうこととなった。
第三幕
喜びとともに、シルヴィアとアミンタは再開した。
しかしシルヴィアを探すオリオンが現れ、オリオンとアミンタはシルヴィアを巡った戦いとなってしまう。
この醜い戦いをみた女神、ディアナは怒り、オリオンをやっつけ、シルヴィアとアミンタの交際を否定した。二人をかわいそうに思ったエロスは、そんなディアナに女神の恋人、エンデュミオンのことを思い出させた。ディアナは思いなおし、シルヴィアとアミンタの交際を許し、二人は結ばれた。
みどころは?
バレエ作品『シルヴィア』の踊りはどれも技巧的です。特に『シルヴィア』の第一幕と第三幕のヴァリエーションは踊り切るだけでも難しく、コンクールなどで用いられる機会は多くないように思います。そのくらい難しいのです。
そんな難しい踊りを優雅にこなしてしまうバレリーナたちのテクニックには圧倒されてしまうでしょう。
またシルヴィアは第一幕のニンフらしい少しかわいげのある衣装と踊りから、第二幕の力強いマイムのシーン、そして第三幕の男性と結ばれる”女性”としての優雅なチュチュと踊りと様々な面を魅せます。この違いもなかなか魅力的です。
さらに第一幕では、森の精やニンフたちが薄暗い中で美しいコールドを見せてくれます。流れるような音楽とともにさらっとした妖精の衣装でふわっとジャンプしたり、きれいなアラベスクがみられたり、など初めから贅沢な作品です。
美しいだけではありません。山羊のパ・ド・ドゥやオリオンの奴隷のパ・ド・ドゥは衣装や動きが面白く、作品のとてもよいアクセントとなっています。
オンラインでみることはできる?
YouTubeでは全幕の『シルビア』を見ることはできなさそうです。
しかし、部分的に挙げられている動画はたくさんあります。
まず第一幕のシルヴィアのソロの動画です。↓
第三幕のグラン・パ・ド・ドゥ↓
三幕のシルヴィアのヴァリエーション単体での動画↓です。英国ロイヤルバレエ団の有名なバレリーナ、ダーシービュッセルさんのヴァリエーションです。本当に繊細できれいです…!
パリオペラ座による改訂
『シルヴィア』は当時作られた版のみが上演されつづけているわけではありません。
パリオペラ座ではジョン・ノイマイヤーによって1997年に新しい版が誕生しました。オリジナルではなく、もともとのギリシャ神話からインスピレーションを得てふりをつけているため大きく異なります。
舞台も昔ではなく現代になっているため、セットや衣装もモダンになっています。
この改訂版は全幕でYouTube上に公開されています。
アミンタ役のジョナサン・コープとシルヴィア役のダーシー・バッセルの芯のある力強さが強調されるコンテンポラリーな作品に仕上がっています。
おわりに
いかがでしたでしょうか?公演の機会がとても多いわけではありませんが、ヴァリエーションなどご存じの方もたくさんいたのではないでしょうか?
ぜひこの機会にパリオペラ座のシルヴィアもご覧になってみてください!
最後までお読みいただきありがとうございました。