バレエいろいろ

超優秀バレリーナが英国ロイヤルバレエ団を辞めた理由とは?

どのバレリーナも一度は夢見る英国ロイヤルバレエ団。
クラウディア・ディーン (Claudia Dean)という女性は念願のロイヤルバレエ団に入団したものの、3年で辞めてしまいました。長年の夢を叶えた彼女がなぜそれを自ら手放したのか、それを彼女が自らYouTube で語っています。

というわけで今回はクラウディアさんについてと、その動画の内容をまとめてみました。

彼女が英国ロイヤルバレエ団に入るまで

クラウディア・ディーンさんはオーストラリアのブリスベーンに生まれ、4歳からバレエを始めました。11歳の時にオーストラリアバレエ学校に入学、そして15歳の時(2008年)にゴールドコーストでPrudence Bowen氏に師事します。

その年から急成長し、様々な奨学金を受けたり受賞することになりました。
2008年には、Sydney Eisteddfod McDonald’s Ballet Scholarshipの奨学金、
2009年に、 Alana Haines Australasian Awards
同年2009年に、 Genee International Ballet Competition にて、
 Gold Medal とAudience Choice Award を受賞しています。

Genee International Competition にて

また2009年にロイヤルバレエのアッパースクールに入学し、2011年に卒業すると英国ロイヤルバレエ団に入団を果たします。アーティストとして活躍していましたが、2014年、自ら退団を決めバレリーナとしての道を閉ざしました。


英国ロイヤルバレエ団を辞めた理由

ロイヤルバレエ学校にも通い、すべてが理想通りなバレリーナ人生に見える彼女がなぜやめてしまったのでしょうか?

ロイヤルバレエ団がよくないバレエ団だったから?
クラウディアさんはそれは断固として否定しています。今でも関係が続いている素晴らしいバレエ友達と出会ったのも、素晴らしいコーチやスタッフに恵まれ、踊るのに最も適した環境だったそうです。

入団後の生活

ロイヤルバレエ団には5つ位があります。

下からアーティスト、ファーストアーティスト、ソリスト、ファーストソリスト、そして主役をもらうプリンシパルです。ほとんどのダンサーはアーティストから始め、クラウディアさんもそうでした。

アーティストは基本的に大役はもらえず、プリンシパルやソリストたちがけがや病気をしたときの補欠としての役割を担うことになっています。クラウディアさん自身、始めはコールド(複数人で踊る)ダンサーの補欠をしていたようです。
彼女が実際に補欠として入った際、開演の三時間前に呼び出され、短いリハーサルのみでの舞台に立ったそうです。
そんな状況だったにも関わらずクラウディアさんは堂々と美しく踊りをこなすことができたようです。そんな彼女の様子をみて、ディレクターが認め、コールドの補欠ではなく、ソリストの補欠が多くなったようです。

こんな風に、実際に役をもらえることはなかったものの、補欠としてステージに上がってソリストをこなすクラウディアさんでした。

また普段の自己管理をしっかりして風邪をひくことなどもなく、毎日のレッスンやリハーサルには欠かさず出ていました。彼女自身も動画で、バレエ人生で一番頑張っていた時期だった、と話しています。

辞めるきっかけとなった出来事

優秀に3年間アーティストとして活躍していたクラウディアさんをみて、周りのダンサーは次はきっとファーストアーティストに昇格すると言っていました。彼女自身も自分の頑張りや舞台でのパフォーマンスが認められているのではないかと感じていたため、どこか期待していました。

しかしディレクターとのミーティングで、自分が昇格しないことを告げられました。いくら頑張っても、いくら急にな事態に軽やかに踊っても、自分ではなにも変えられないこと。自分の居場所はすべてバレエ団全体に決められてしまうこと。これが彼女自身にとってこの職業が向いていないと気付くきっかけとなります。

よく電話していたオーストラリアの両親に連絡し、自分の故郷に帰ることに決めます。バレエ団を辞めるということです。
それまでの20年間積み上げてきたものがここで切れてしまうのです。

しかし不思議なものでなぜか彼女はこれが正しい決断だと感じたといいます。

少なくとも一時的にはバレエ団から離れると決めていながらレッスンを受けた日、今までにないくらい楽しく踊れました。家に帰れる、自分のキャリアから自由になれる、そういう明るい気持ちで踊ったその日はとてもうまく踊ることができ、これがまた辞めることが正しい決断だと判断させました。

ディレクターとも話をし、もちろんディレクターは止めようとしましたが、クラウディアさんを尊重し、戻りたくなったらいつでも戻ってくるように言ってくれました。

実家に帰ると…

実家に帰ってからはバレエのプライベートレッスンを始めました。
プライベートレッスンは彼女がずっとやってみたかったことでまた新たな夢が実現したといいます。Mackenzie Hensonという英国ロイヤルバレエのバレリーナも教えました。

クラウディアさんが教えている様子

そして辞めてから4年後、彼女の母が脳動脈瘤で急に亡くなってしまいます。

クラウディアさんを尊重し素晴らしい大人の女性に育て上げたお母さんの最後の4年間、そばで暮らせたのは本当に良かったと話しています。

バレエ団を辞めていなかったら、自分がその時正しいと思う道に沿っていかなかったら、お母さんの最後を見届けることはできなかったでしょう。

最後に

クラウディアさんが英国ロイヤルバレエ団を辞めた理由、それはなにか絶対的な理由ではなく、自分にとって何が向いているか、自分にとって幸せとは何か、それを考えて考え抜いた結果でした。その考えのきっかけが昇格に至らなかったという出来事ではありましたが、自分が正しいと思った道を突き進むことの大切さを心から語ってくれています。お母さんとの最後の4年間をすごせたのも自身の信念を貫いた結果そのものです。

長くなりましたが最後までお読みいただきありがとうございました。

主に参考にした動画↓

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